A:電動歯ブラシは大きく分けて通常の電動歯ブラシ、音波歯ブラシ、超音波歯ブラシの3種類
に分類されます。ここで注意しなければならないのは超音波歯ブラシでパワーが弱いため電
動歯ブラシの刷掃効果はあまり得られないということです。その代わり歯周病の原因とされ
るバイオフィルムの除去効果が大きいため歯周病の患者さんには適していると言われてい
ます。超音波歯ブラシは高速で重いヘッドを振動させるのが大変なためかヘッドが小さいも
のが多く合わせて本体自体も小さく作られています。しかしそのために強力な機械的刷掃効
果が期待できず手用歯ブラシのように動かして磨く必要があります。また水中で振動してい
た方が効果が上がりますのでできるだけ口を閉じた状態でブラッシングすると良いでしょう。
逆に音波ブラシはかなり本体が大きい物が多いので女性や手の小さい方には使いにくい
かもしれませんがおおむね重量が大きいほど機械的刷掃効果が高くかなり強力で慣れない
と痛いぐらいです。音もかなり大きいですので好みの分かれるところです。
通常の電動歯ブラシは一般的な歯ブラシのヘッドの形をしたものと円形状にブラシが並ん
で回転ないしは半回転往復運動をするものなどがありますが、音波歯ブラシのパワーを弱く
したような効果と考えていただけばよろしいでしょう。超音波歯ブラシや音波歯ブラシは大体
性能が平均していますが通常の電動歯ブラシの場合はかなり性能に差があります。殆どブラ
ッシング効果のないものから超音波歯ブラシや音波ブラシより優れている物まで様々です。
何れにしてもあまり安価な物はお勧めできません。実際に持ってみて大きさや持ちやすさ、
動かしてみて強さやどういう動きの種類があるのか確認してから購入されたほうが良いでしょ
う。(電動歯ブラシまとめ参照)
Q:電動歯ブラシは手で磨くより良いのでしょうか?
A:数年前に当院でも何種類かテストしてみましたが、結果はあまり良いものではなく手動に比
べて有意な差は認められませんでした。しかし最近続々と発売されている音波ブラシ、超
音波ブラシは値段が高いだけのことはあって従来型の電動歯ブラシとは明らかな違いがあ
ります。各メーカーでも謳っているように初期の歯石やヤニが取れるというものです。ただ
当院でもテストしていますが機種により効果のばらつきがあること、大量に付着した歯石は
除去できないこと等、過信は禁物です。また実際に手に取って動かしてみて比較されると違
いが実感できると思われます。当院でも受付に充電状態のサンプルを設置しておりますの
で実際に触れてみられることをお勧めします。音波ブラシ、超音波ブラシで注意が必要なの
は歯に軽く当てて使用するということで強く押し当てるとブラッシング効果は激減してしまい
ます。
電動歯ブラシ全般に言えることですが、ごく短時間で磨けたような気分になってしまうのは
難点です。中にはタイマーが付いていて一定時間毎にブザーが鳴る機種もありますが、ど
れもブラッシング時間としてはかなり短いと思われますのであまり過信せずに時間をかけて
隅々までよく磨くようにしてください。ブラッシングの際の参考にご自分の口の中の模型があ
るとかなり役に立ちます。どこをどう磨けば良いのか分かり易いので通院中の歯科医院で
お願いしてみるとよいでしょう(※全ての歯科医院で作ってくれるわけではありません)。また
歯と歯の間のところは必ず糸ようじ(デンタルフロス)か歯間ブラシで掃除してください。
当院で取り扱い中の電動の音波ブラシ
Q:よく磨いているつもりなのに医院で磨きが足りないと言われるのですが
A:ご自分では丁寧にブラッシングしているのに歯科医院で磨きが足りないと言われることが
よくあります。これはブラッシング部位が偏っていること、歯ブラシの先が届いていない部位
がある、患者さん側と歯科医師側とのブラッシング時間に対する認識のギャップがある等
が考えられます。まずブラッシング部位の偏りですが、どうしても磨きやすい場所や力の入
りやすい場所を中心に磨いてしまう傾向があるということです。例えば右利きの方が右手
でブラッシングする場合、どうしても右の奥歯の裏側や左の奥歯の裏側に磨き残しがある
場合が多いのです。また一般的に下の前歯の裏側も磨きにくい場所のひとつです。次に
歯ブラシの先が届いていない部位ですが、傾いている歯のある方や外側や内側に生えて
いる歯のある方は歯ブラシを当てる角度をかなり工夫しないと歯ブラシが届かない場合が
あります。また通常下の奥歯はやや内側を向いて生えていますので裏側のところに歯ブラ
シが届きにくいのです。さらに一番奥の歯、親不知(智歯)等もかなり意識して歯ブラシを
入れないと届かない場合もあります。まずはご自分の歯の並び方等を充分把握して頂き
たいと思います。下の歯の場合は鏡で確認することができますが上の奥歯等は確認でき
ませんので歯科医院で口の中の石膏模型(顎模型)を作ってもらうことをお勧めいたしま
す。当院では実費にて顎模型の製作も賜っております。3番目のブラッシング時間に対す
る認識のギャップですが、我々はブラッシングに最低でも5分以上かけなければ充分な清
掃ができないと考えています。糸ようじ(デンタルフロス)や歯間ブラシによる清掃も含めた
らかなりの時間になると思います。口の中の状態、歯肉の状態によってはさらに時間をか
けたほうが良い場合もありますので、歯科医師と相談の上ご自分の口の中の状態を充分
に把握してブラッシングを行なってください。また歯と歯の間のところまでは歯ブラシの先
は届きませんので糸ようじや歯間ブラシによる清掃も忘れないでください。最後に一般的
に歯垢や歯石が溜まりやすい部位をお教えしますので参考になさってください。1.下の前
歯の裏側、2.下の奥歯の裏側、3.上の奥歯の外側。
各サイズ揃った歯間ブラシと糸ようじ
Q:デンタルフロス(糸ようじ)の使い方がわかりません
A:デンタルフロスにはただの糸だけ(プラークの除去しやすいように加工してあります)で指に
巻いて使用するタイプと予め糸がホルダーに固定されているタイプがあります。一般的には
ホルダーに固定されているタイプのほうが使いやすいと思われます。しかしながら糸だけの
タイプのほうが経済的ですし長年使い慣れた方は糸だけのタイプのほうを好んで使われる方
もいらっしゃいます。
糸だけのタイプの使用法は「J&Jデンタルフロス」の項で図解して説明しております。
いずれのタイプも歯と歯の間に詰まった食べカスや歯面に付着したプラークを除去するた
めのものですから、ただ間に入れるだけではなく歯の面に押し当てて掻き上げるようにして
使います。その際手前側の歯に押し当てる動作と奥側の歯に押し当てる動作の両方とも行
なう必要があります。片方の歯に押し当てるだけだったり、ただ入れて引き抜くだけでは充
分な掃除ができません。
通常はフロスを歯と歯の間に入れてさらに歯肉の歯の間の溝の中まで入れ、そこから歯
面に押し当てながら歯の頭の方に向かって(上下方向)掻き上げます。しかし歯と歯の間に
詰め物がしてあったり被せ物が入っていたりすると掻き上げる際に引っかかる場合があり
ます。その場合には無理にその方向に引き抜くとそれらが外れてしまう場合がありますので
歯の表側または裏側に向かって(横方向)引き抜くようにします。
また連結した被せ物やブリッジが入っているところは当然フロスは入りませんのでそういう
場所は歯間ブラシを使用してください。さらに歯と歯の間の隙間が大きくフロスが抵抗なく入
ってしまうような場所も歯間ブラシを使用したほうが良いでしょう。
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