歯式の読み方

 歯科検診や歯科医院の治療計画書等で歯らしき図が書いてありますが、よく分からないとの声をよく聞きます。
この図は歯式(チャート)と呼ばれるもので形式は様々で歯科医院によってもまた検診を受ける機関によっても違
っていて統一されていません。そこで当院で確認できた様々な歯式と読み方をご紹介いたします。
 まず最初に知っておいて頂きたいのは全ての歯式は左側が右の歯を表していて右側が左の歯を表していると
いうことで、これは患者さんまたは検診を受ける方を正面から見た状態(客観視点)を基準とした方が記載時誤り
が少ないからです。また歯の名称等は「歯の種類と本数」をご参照ください。
1.日本歯科医師会、日本歯科医学会監修の、検診や治療途中の歯の状態説明のために歯科医院等で渡される
用紙で使用されている歯式です。当院でも平成20年現在この形式を使用しています。この歯式で右図のように赤
等で塗り潰してある場合がありますが、これは歯を5つの面に分けて歯垢が付着している部分を示しています。歯
磨きをする際の参考にしてください。なお左図の真ん中にある「本」というのは存在する歯の本数を示しています。
各歯に記載されている病名等の記号はこのページの下の方をご参照ください。


2.日本歯科医師会、日本歯科医学会監修なのは1と同様で形式も似ていますが口の中の絵が追加され乳歯の
歯式が省略されています。乳歯を示すアルファベットの記号はありますが、永久歯と乳歯が混在した場合は使いに
くいかもしれません。読み方は1と同様です。


3.コンピュータを使用して検査結果まで印刷している機関ではソフト作製時の簡便性等からこちらの歯式が使わ
れていることが多いようです。丁度1の歯式を直線状に並べて歯の部分を四角にした形状です。これも歯を5つの
面に分けて歯垢が付着している部分を赤等で塗り潰してあります。読み方も1と同様です。歯周疾患の結果表とし
て使用されている場合は歯のぐらつき(動揺度)や歯周ポケットの深さが表示されている場合もあります。


4.これは当院での診断書等に使用している歯式ですが3の省略型になります。主に病名のみを記載する場合に
使用します。


5.保健所・市町村・学校の歯科検診等で使用されます。このページの下の方の記号の説明のところにありますよ
うに一般的な歯の病名を全てCとして表記しています。また通常歯科医院等では欠損歯(歯がない状態)を×で消
すことが多いのですがこちらの形式では△で表記します。


6.これは私が当院を開業する前にパソコンでの印刷用に作製した歯式で歯の並びを上下方向から見た歯の外
形や溝の形等をできるだけ忠実に再現するようにしているのが特徴です。実はこの歯式、ペイントソフトを用いて
歯一本一本ドットを描いて作製していますのでかなりの時間が掛かっている大作だったのですが、最近は当院でも
あまり使用する機会がなくなりコンピュータの歯科専用ソフトが出力できる既製の歯式を使用するようになってしま
っています。


 他にもここに挙げた歯式から派生する永久歯のみや乳歯のみの歯式や第三大臼歯(智歯)が載っていない歯式
等も存在します。しかし大人になっても乳歯が残っている方もいますし子供の成長過程で永久歯と乳歯が混在する
時期も存在します。また第三大臼歯もその手前の歯が欠損したりすれば大変重要な歯になったりしますので、な
ぜそんな省略した形の歯式が存在するのかよくわかりません。

記号の説明

C:虫歯のことで詰めたり被せたりする必要があります。虫歯がひどくなっている場合は神経を取ったり抜いたりす
ることが必要な場合があります。またC1あるいはC0と記載されている虫歯はまだ初期なのでそのまま処置をせず
に様子を見ることもあります。

Pul:虫歯が中の神経まで達しているか、虫歯ではなくとも神経が炎症を起こしている状態です。麻酔をして中の
神経を取るか、ひどければ抜く必要があります。

Per:神経を取った後の歯または虫歯が深くて神経が死んでしまった歯で根の先のところが炎症を起こしている
か膿が溜まっている状態です。歯を削って根の治療をするかひどければ抜く必要があります。

P:歯肉の炎症で歯周病、歯槽膿漏などと呼ばれています。ひどくなると歯がぐらついて抜けてしまったりします。
歯石を取ったり歯肉の手術、場合によっては抜かなければならないこともあります。

G:歯周病の一種で軽度の歯周炎・歯肉炎、主に未成年の方が罹患します。

MT:歯を抜いたり抜けてしまったり、または先天的に歯がなく隙間が空いてしまっている状態です。義歯やブリッ
ジを入れる必要があります。すでに義歯を入れている方はこの限りではありません。

×:既に抜いた歯または存在しない歯に×印をつけます。

Hys:象牙質知覚過敏のことで虫歯でもないのに冷たいものが凍みる状態です。歯の神経を保護する薬を塗るか
ひどければ神経を取ったり症状が軽ければそのまま処置をせずに様子を見ることもあります。

保健所・市町村・学校の検診で用いられる記号

C:上記でPulやPerに該当する歯も含めて治療が必要な歯を未処置として総称してCと記載します

/:健全歯

○:何らかの処置を完了している歯

×:既に抜いた歯または存在しない歯、学校検診では抜いた方がよい乳歯

△:学校・市町村検診では既に抜いた歯または存在しない歯

サ:サホライドが塗布された歯

シ:シーラントが施された歯



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